ただサイトを作っただけでは、1円も売れない。現役運営者が明かす、越境EC“本当の”始め方

「海外に販路を拡大したい。Shopifyを使えば、誰でも簡単に世界中に自分の店が持てるらしい…」
そんな希望を胸に、あるいは大きな経営判断として、越境ECの世界に飛び込んだ。美しく、機能的なサイトも完成した。しかし、鳴り響くはずの注文通知は沈黙を続け、アクセス解析の画面には、寂しい数字が並ぶだけ…。
「一体、何が間違っているんだろう?」
そんなため息をついてはいませんか? その気持ち、痛いほどわかります。なぜなら、私自身が今まさに、あなたと同じ立場で、日本のお茶やお菓子を海外に販売する越境ECサイト『NIHON WELLNESS BOX』を運営し、日々試行錯誤を続けている実践者だからです。
今日は、世にあふれるキラキラした成功事例の裏にある、もっと泥臭くて、もっと重要で、そしてこれから始めるあなたが絶対に知っておくべき「越境ECで本当にやるべきこと」について、私の失敗談も交えながら、包み隠さずお話しします。
本質1:それは『サイト制作』ではなく、『海外マーケティング』である
多くの人が陥る最初の、そして最大の罠。それは、ECサイトを作ること自体が目的化してしまうことです。「Shopifyで、プロが作ったような綺麗なサイトさえ完成させれば、世界の誰かが見つけてくれて、買ってくれるはずだ」という淡い幻想を抱いてしまいます。
しかし、現実は非情です。インターネットという広大な砂漠に、あなたのサイトはただの「無人の店舗」としてポツンと建っているに過ぎません。
私が国内最大級のエンタメプラットフォームでCMOとして学んだマーケティングの鉄則は、「顧客がいる場所へ行け」という、極めてシンプルなものでした。越境ECも全く同じです。 サイトを作る前に、あるいは作りながら、まず自問すべきはこれです。
「あなたの商品を本当に欲しがっている海外の顧客は、一体どこにいるのか?」 「彼らは、どの国の、どんなSNSを見て、どんなインフルエンサーの言葉を信頼しているのか?」
まずはInstagram広告で、ターゲットを絞って数万円の小さなテスト出稿をしてみる。現地のマイクロインフルエンサーに製品を送って、率直な感想をもらってみる。サイトという「店」を構える前に、まず「顧客」を見つけるマーケティング活動こそが、越境ECの成否を分けるのです。
本質2:それは『商品を輸出する作業』ではなく、『顧客体験の設計』である
注文が入った! さあ、商品をダンボールに詰めて、海外の住所に送れば終わり…ではありません。むしろ、そこからがブランド価値を築く、本当の戦いの始まりです。
海外のお客様は、決して安くはない送料を支払い、日本の何倍もの時間をかけて、あなたの商品が届くのを待っています。その期待感を、箱を開ける瞬間に超えることができるか。
私が運営する『NIHON WELLNESS BOX』で、利益を削ってでもこだわっているのが、この「開封体験(アンボクシング・エクスペリエンス)」です。 ・輸送に耐える、丁寧で美しい梱包 ・お客様の名前を記した、手書きのサンクスカード ・同封するお茶の美味しい淹れ方を解説した、小さなリーフレット
以前、アメリカのお客様から「箱を開けた瞬間、日本の“おもてなし”の心に感動した。送料は高かったけど、この体験にはその価値がある」というレビューをいただいた時、これがリピート購入に繋がり、ブランドになると確信しました。
逆に、関税でトラブルになったり、配送が遅れたりした際の、誠実で迅速なクレーム対応も、ファンを作る絶好の機会です。商品をただ「輸出」するのではなく、お客様の不安や期待に寄り添い、感動を届けるという「顧客体験の設計」こそ、価格競争に陥らないための強力な武器となります。
本質3:それは『短期的な売上』ではなく、『長期的な資産』の構築である
「始めてみたはいいものの、送料、関税、決済手数料、広告費を引いたら、ほとんど利益が残らないじゃないか…」
これは、多くの越境EC運営者が直面する現実です。もちろん、事業である以上、利益を出すことは至上命題です。しかし、始めてすぐに大きな利益を追求しようとすると、ほぼ確実に失敗します。
では、初期の越境ECの本当の価値はどこにあるのか? それは、目先の売上ではなく、「海外顧客の、生の声(データ)」という、未来の事業の柱となる、何物にも代えがたい『無形資産』です。 ・「〇〇な商品が欲しい」というニーズ ・「この商品の使い方がよくわからない」という疑問 ・「△△というインフルエンサーの投稿を見て知った」という流入経路
これら一つ一つの「生きた顧客データ」は、次の商品開発や、現地のディストリビューターと交渉する際の「この国では、こういう層に、こういう訴求をすれば売れるという実績があります」という、極めて強力な武器になります。
私が大手飲料メーカーでDX推進をしていた時、喉から手が出るほど欲しかったのが、この「生きた顧客データ」でした。越境ECは、そのデータを世界中から低コストで集められる、最高の『実験場』なのです。
世界への冒険を、始めよう
越境ECとは、魔法の打ち出の小槌ではありません。 それは、世界中の顧客と直接繋がり、対話し、学び、共にブランドを育てていくための、地道で、しかし、この上なくエキサイティングな冒険です。
もしあなたが、その「世界への冒険」に、羅針盤も海図も持たずに漕ぎ出そうとして不安を感じているなら。 ぜひ一度、私にお声がけください。
同じ実践者として、そして数々の事業をグロースさせてきた戦略のプロとして、あなたの伴走をさせてください。まずは【グロース戦略診断レポート】で、貴社の越境ECにおける「現在地」と、目指すべき「最初の目的地」を、共に明らかにすることから始めませんか。
ご連絡を、心よりお待ちしております。