海外公演の「成功」が、なぜか次に繋がらない…元・エンタメCOOが語る、”刹那的なファン”を”生涯の仲間”に変えるコミュニティ戦略

悲願だった海外でのライブやイベント。会場は熱狂に包まれ、SNSには賞賛のコメントが溢れた。「大成功だ」…誰もがそう確信したはず。
しかし、数週間もすればその熱狂は日常にかき消され、あれほど盛り上がったハッシュタグも、次第に使われなくなる。そして気づけば、またゼロから次のプロモーションを考え、ファンの熱を掘り起こす作業を繰り返している…。
そんな「燃え尽き症候群」のような状態に、心当たりはありませんか?
その原因は、あなたの会社のコンテンツやアーティストの魅力不足ではありません。ファンを「動員数」という“点”でしか見ておらず、イベント後も熱量を維持し、増幅させていく「コミュニティ」という“面”で捉える視点が欠けているからです。
初めまして。グロース戦略パートナーのJapanConnectAdvisoryです。 私の最大のミッションは、単に顧客数を増やすことではなく、いかにして顧客のLTV(顧客生涯価値)を高め、熱狂的なファンコミュニティを築くか、という点にありました。
今日は、一過性の花火で終わらない、持続可能な海外展開の土台となる「コミュニティ戦略」について、その核心をお話しします。
理由1:「接点」がイベント時しかないから
海外ファンとのコミュニケーションが、ライブやイベントの告知期間と、開催期間だけに集中していませんか?これでは、ファンにとってあなたのアーティストは「年に一度のお祭り」にはなっても、「日常を共にする存在」にはなれません。
私が最も重視したのは、イベントのない「平時」のコミュニケーション設計でした。熱狂の炎を絶やさないためには、常に小さな「種火」を送り続ける必要があります。
- メンバーシップ限定のブログや写真の更新(時差を考慮した時間に投稿する)
- 制作中の楽曲のデモ音源の一部を、限定公開する
- 海外ファンからの質問に、現地の言葉で答える短い動画を不定期にアップする
これらは一つ一つは小さな施策であり、大きなコストはかかりません。しかし、この「いつも気にかけてくれている」という感覚こそが、ファンとの心理的な距離を縮め、次のイベントで再び大きな炎となって燃え上がるための、最も重要な燃料となるのです。
理由2:ファン同士の「横の繋がり」を設計していないから
あなたの会社とファン。その「縦の関係」はあっても、ファン同士が交流するための「横の繋がり」の場を用意しているでしょうか?
ファンは元来、同じものを愛する仲間と繋がり、語り合いたいという強い欲求を持っています。その欲求が満たされない時、ファンは孤独を感じ、熱量を維持することが難しくなります。
重要なのは、公式が認める「安全な遊び場」を提供することです。 例えば、海外ファン向けの公式DiscordサーバーやFacebookグループを立ち上げ、そこでの交流を積極的に推奨するのです。
- ファンが投稿したイラストや動画を、公式アカウントが称賛と共にシェアする
- 現地のファンが企画する「上映会」や「カラオケ会」を、告知協力する
- 新曲の解釈について、ファン同士で語り合うスレッドを立てる
「公式が見てくれている」という安心感と承認欲求が満たされることで、コミュニティは健全に活性化します。アーティストが不在の時間も、ファン同士が熱量を再生産し、増幅させてくれる。この状態を作れて初めて、本物のコミュニティと言えるのです。
理由3:ファンを「消費者」としてしか見ていないから
チケットやグッズを買ってくれる、ありがたい「お客様」。もちろんその通りです。しかし、その視点しかないと、ファンへのコミュニケーションは「告知」や「宣伝」といった、一方的なものになりがちです。
私が個人で運営する越境EC『NIHON WELLNESS BOX』で日々感じているのは、お客様からいただく「次はこんな商品が欲しい」「このお茶はこんな風に楽しんだ」というアイデアの価値です。これはエンタメでも全く同じ。ファンを、ビジネスの「パートナー」「共犯者」として巻き込むのです。
- 「次のツアーグッズのデザイン、A案とB案、どっちがいい?」とSNSで投票を募る
- 「次のアルバムに収録するカバー曲を、みんなのリクエストで決めたい」と呼びかける
- ライブの演出の一部について、ファンからアイデアを募集する
ファンに意思決定のプロセスに一枚かんでもらうことで、彼らは単なる消費者から、プロジェクトを「自分ごと」として成功させたいと願う「仲間」へと意識が変わります。この当事者意識こそが、何物にも代えがたい最強のエンゲージメントであり、LTVの源泉なのです。
「動員数」から「仲間」の数へ
海外展開の成功の指標を、考え直してみませんか? 一度の公演で何万人を動員したか、ではありません。国境を越えて、あなたの会社のコンテンツを心から愛し、支え、時には意見をくれ、そして共に未来を作っていきたいと願ってくれる「仲間」が、世界中に何人いるか。
それこそが、10年後、20年後も輝き続けるための、真のグローバル戦略だと私は確信しています。
もし、貴社の「刹那的なファン」を、持続的な収益の源泉となる「生涯の仲間」へと昇華させるための、具体的なコミュニ-ティ戦略に関心があれば、ぜひお声がけください。
まずは【グロース戦略診断レポート】で、現状のファンエンゲージメントをデータで可視化し、貴社だけのコミュニティ戦略の第一歩を設計することから始めませんか。
ご連絡を、心よりお待ちしております。